--ラぜラル王国-- 4話


レッディースアーンド、ジェントルメェッン!!毎年恒例、秋の恵みまるごといただき大会の開催を此処に宣言いたしますッ!!
司会者だろう、一人のスーツを着た女性が太くて短い棒を片手に、そう高らかに叫ぶ。棒の片方には球体がついており、魔法使いの杖を短くしたような印象がある。と、同時に会場の周囲にいた数々の人は大地を揺るがすほどの怒号を上げた。
ちなみに、女性が持っている棒にはあらかじめ音量を大きくし、さらに拡散させる魔法がかかっているので、会場付近半径1キロメートル以内に居る人間は一字一句聞き逃すことなく話の内容を知ることが出来る代物だ。
「今年のチャレンジャーは5組!!総勢15人の猛者達です!!」
ずらり、と5つ仲良く並んだ大テーブル。そして椅子のほうに女性はオーバーに手を向ける。その中に、3人はいた。
右から数えて4つめ、胸につけられたバッジには大きく『4』と記されている。
「……意外に、人が多いのねー。」
リズが、椅子に座りながら周囲に目を向ける。
「そりゃあ、この収穫祭のメインイベントだからな。この町の人間はおろか、他の国から見にくる物好きもいるっつー話だぜ、嬢ちゃん。」
そう答えたのは、右隣の大きな男だった。その胸には、3と記されたバッジがつけられており、参加者ということを示している。
「へぇ、そーなんだ。」
「おうよ。ま、今年も俺らの優勝で間違いなしよ!せいぜいお嬢ちゃんは腹ァ壊さないように頑張るんだな!!」
はっはっは、とその姿に似合う大きな口で男は笑い出す。よくみると、その男の3人組はいかにも、といったような風体の方々ばかりだ。
しかしリズはふん、と軽く鼻を鳴らしてみせる。
「アタシね。他の事じゃ何にも出来ないけど―…食べることなら自信あんの。前に仲間に言われたわよ?お前の胃は冥界にでも繋がってんのか、って。」
そう自信まんまんに答えるリズに、男はさらに大きく笑い出した。
「冥界かー!!いいね、お嬢ちゃん。オレも今度そのフレーズ、使わせてもらうよ!」
男がそう言った瞬間、司会の女性がルールを読み上げ始めたので、リズも集中する。
もし、ルール違反で即刻失格になったら御飯のくいっぱぐれになるからだ。
「ルールは簡単!!出てくる料理を食べてください!た・だ・し、約束があります!!
 ひとつッ!残してはいけません!
 ひとつッ!明らかに地面に落とす等もったいないことはしないでください!
 ひとつッ!一品につきかけられる時間は15分ッ!それを超えたら即刻終了です!

 では、チャレンジャーの紹介をしていきましょう!!」
そういって、右端から順番に挑戦者たちの名前が挙げられていく。それをぼんやりと聞きながら、左端の席に座ったセツナが口を開いた。
「すいませんが、オレはこういうの向いてないですから、一切口にしませんけど。いいですね?」
そういうセツナはすでに懐から本を出しており、傍観者モードのスイッチがオンになっている。
「まっかせて、せっちゃん!君の分も僕ががんばるから!!」
「アタシだって。食べ放題なんだから参加してるんだし。ついでに優勝できたらいいなー。みたいな。」
などと、非常に他の参加者たちに失礼なことをのたまっていると、いつの間にか時間が進んでいたのだろう、司会者が浪々と隣のチームを紹介していた。
「続いて3番ッ!前回チャンピオンの紹介です!このチームは3年連続の優勝経歴を持っております!今回もぶっちぎりの実力を見せてくれるのかーッ!!」
隣の大男3人組が立ち上がり、観客席にそれぞれのアピールをする。各所から3人組の名を呼ぶものなど、結構な人気を誇っているようだ。
「では、続いて4番ッ!こちらは飛び入り参加の不思議な3人組だーッ!
 少女と女性と男の子のなんとも奇妙な取り合わせ!果たして今回のダークホースとなるのか!?」
先ほどの3人組に習って、一向は立ち上がりとりあえず観客に手を振る。
ルートは両手を上げて笑顔で高らかに。リズは片手を腰に、もう片方を手を天に突き出す。
そしてセツナは、非常に不快といった表情を浮かべながら、控えめに手を振っていた。
周囲の観客からは、野次を飛ばされることこそなかったものの、『腹壊すなよー』等、あちこちで笑い声が上がっていた。
「……だからオレは、男なんですけど……」
席に座って一言、セツナが漏らす。
「安心してせっちゃん!せっちゃんはそこいらのメス豚どもよりとっても素敵で綺麗で可憐なんだから!」
ルートがセツナのほうを向き、両手を体の中央で組み、恍惚とした顔で早口言い立てる。フルで本心から言っているのでタチが悪いことこの上ない。
「それって、微妙にフォローになってないような……」
と、すべての参加者の紹介が終わったのか、司会者は再び舞台の中央に立った。
手にはマイクのようなものを携えたまま、声を張り上げる。
「では、これより準備に入らせていただきます!15分後にスタートといたしますので、観客の皆様はしばしお待ちください。
 なお、この大会は賭けも行われておりますので、参加したい方は巡回中の星型のバッジをした職員に話しかけてください!!」

そんな、異様なほどの盛り上がりを見せる観客席のすみっこの一角にて。
その二人組みは座っていた。白い旅人と、黒い旅人が。
「……ふ、計画通りだな。」
にやり、と大きな紙コップ片手に笑うのは、白い旅人―…そう、イレイス。
その手にした紙コップには、この辺でとれたコーンを油で炒め、キャラメルで甘く味付けしたものが山盛りに入っている。
「……本当、兄貴の推理には脱帽するよ……急に進路変えるって言い出すから何かと思ったら、こういう事か……」
そう感慨深げに言った黒い旅人、ブロウは会場の上にいる、場違いともいえる3人組をみつめていた。
3人はこちらにまったく気がついていない。というか、あのポジションじゃ多分無理だ。
「アイツは食べ物の香りがするところに集まるからな。セツナにはいい迷惑だろうが。」
おまけに女と間違われていたしな、とイレイスはコーンを突っつきながらそう付け加える。
もともとセツナはあまり目立ちたがりではない―…というか、むしろそうなることを極力さけてきた節がある。
ルートはセツナを自分の絶対神としてみている節があるから、そんな彼には反対しない。
「はは……ちゃんと後でお礼いっとかないとな。」
「ちゃんとあって会話が出来れば、の話だろうがね。」
「は?どういう……」
ブロウが言おうとして、会話が止まる。というのも、胸に星のバッジをつけた職員と思われる人がこちらに来たからだ。
「お兄さんたち、賭けやるかい?一口500ノートだよ。」
その職員はすこしだけ他とは違う目立つ格好をしており、首から集金箱とおもわれる木製の箱をぶら下げていた。
「そうだな……今の一番人気は?」
イレイスがコーンをあさる手を止め、職員に聞く。
「そりゃ、なんといっても3番だね。かける人多すぎて倍率もあってないようなものだよ。」
なんたって、3年連続圧勝だからね、と続く。ふむ、とイレイスはその言葉に悩むようなそぶりをとる。
「では、4番の倍率は?」
「ああ、あのコ達かい?ありゃ、いまんところ買う人間なし。倍率も…多分このままだと15は超えるね。」
「ほう…では、40口もらおうか。4番で。」
そういって、イレイスは懐から1000ノート金貨を20枚財布から取り出し、職員に向ける。
「……ほ、本気かい?チャレンジャーだね……」
職員はその勢いのよさにやや引きつりながら金貨の数を確認する。
そして、4番(10口分)、とかかれた厚紙を4枚イレイスに手渡した。
「ああ、あの3人はちょっとした知り合いでね。せっかくだから、といったところだな。」
「へ、へぇ……ま、応援してやんなよ。」
それだけいうと、職員は巡回を続ける。イレイスは買った厚紙を財布の中に入れると、懐にしまいこんだ。
「おいおい兄貴……大丈夫なのかよ?」
さすがにブロウも心配になってきたのか、再びコーンと向き直るイレイスに声をかける。
「単純に制限時間で食べきるやら早食い、だったらそこまでチャレンジはしないが。
 このルールは単純に量を計測しているだろう?だったらルートが居る限り、あっちは最強だろう。」
「……ま、確かに。リズも居るし……うん。」
ブロウはリズの食べっぷりを思い出しているのか、その顔には苦笑いが浮かんでいた。
「お、始まるぞブロウ。」
イレイスが再び会場に目を向ける。挑戦者の隣に、さまざまな料理が載った台車が待機している。
そして、料理を並べる兼、タイムを計る審判者が一組に一人ずつついていた。
司会者が、どよめき続ける観客にむかい、握りこぶしをを虚空に向かって突き出した。


では、皆さん、手を合わせて―――ッ、いただきますッ!!


まずはリズが先ほど食べていたのと同じ、バゲットのサンドイッチが運ばれてきた。
皮が固く細長いパンに切れ目を入れ、できた隙間に野菜やハムを挟んでいるものなのだが、リズが食べていたのは長さ30cmほどのハーフサイズであった。
今回はリズの腕ほどの長さのものに、厚切りベーコンにマヨネーズで和えたスクランブルエッグ、飾りにパセリ…という、ボリュームたっぷりの代物だ。
「第一ステージは15分以内に3人で7本のバゲットサンドを食べてください!
 但し、昨今の痛ましい事故を教訓にして、同時に牧場絞りたてミルクを準備しました。
 こちらを3人で大瓶3本(約3リットル)を飲んでいただかないと、たとえバゲットサンドを食べ終えてもクリアとはなりません!
 さあ、脱落者は出るのかーっ!?」
などという司会の女性のテンションの高い実況などどこふく風、参加者たちは一斉にサンドイッチにかぶりついた。……但し、1人を除いて。
「あーのー…4番のあなた。そうあなたです。食べないんですか?」
おそるおそる司会が“4番のあなた”…セツナに尋ねた。そう、セツナ以外は皆が躍起になってサンドイッチを食べているというのに、なぜか本を広げてそれを読んでいるのだ。観客からすればおもしろいものではない。
セツナは顔を上げて…小首を傾げた。
「俺ですか?俺は数合わせですから」
その横で…
きぃぃーっ!!それはアタシが食べるんだからよこせーーっ!!
やだーっ!!せっちゃんの分は僕が食べてあげるって決めたんだから渡さないーっ!!
リズとルートがバゲットサンドの残り1本を巡ってケンカをしていた。ちなみに時間はまだ5分経過したかしていないかくらいである。
セツナと司会の女性はその様子をしばらく見つめ……セツナが「ね?」と首を傾げ、司会の女性は恐る恐る……こくり、と頷いた。
「ええーいこうなったらじゃんけんで勝負っ!」
「よしきた負けないぞー!じゃんけんぽいっ!」
「あいこでしょっ!」
「あいこでしょっ!!」
「あいこでしょっ!!」
「「あいこでしょっ!!」」
リズとルートは平和的にじゃんけんで解決しようとしたらしいが、あいこが続いてなかなか勝負が決まらない。
その間に他のチームの面々はどんどんと平らげ……
「残り3分です!」
というアナウンスが聞こえた。観客は他のチームの食べっぷりよりも、リズとルートのじゃんけん勝負の結果を固唾を呑んで見守っている。
「あいこで…しょっと出すバカのまけー!
んなっ!?
今までの流れでつい場にパーを出したリズが固まった隙をついてルートが体を反転、そのままバゲットサンドに食いついた。
そしてそのままものすごいで食べ、残っていたミルクも飲み干した。のと同時に、15分経過の合図が鳴らされた。



「……っぶねー……」
観客席のブロウが大きく息を吐いた。ブロウは先ほどまで「おい、時間!時間気にしろ!」だの、「セツナ、仲裁に入れ!」だの小声でわめいていたわけで……どうやらはらはらしていたらしい。
一方のイレイスは先ほど同様、コーンを少量づつつまみ上げながらにやにやしている。
「ブロウ、少し騒々しいぞ」
「いや、やっぱ金かかってるからつい……っていうか兄貴は心配しなかったのか?」
「別に?」
ブロウの問いにしれ、と答えるイレイス。ブロウが「さすがだなー」と言いかけたのをさえぎるかのように、イレイスはくつくつと声を上げて笑う。
「少なくともセツナが“なかったこと”にしたらおもしろいな…とくらいは考えていたがな。
 もっとも、こんなところで躓くようなら裸足で故郷に逃げ帰るくらいのお仕置きはしてやるが」
「……さいですか」
この人物はやると言ったらやる。それを知っているブロウは小さく震えた。


続いて、リズたちの前には大きなステーキが運ばれてきた。
牛を輪切りにでもしたのだろうかと思わせるような、リズが腕を広げたくらいの大きさの肉が3枚、厚さはリズの腕の幅くらいはある。
このサイズになるとさすがに普通のナイフとフォークでは間に合わないらしく、牛の解体用の巨大な包丁と串が一緒に出されてきた。
「第2ステージはボリューム感満載のステーキだ!
 これも15分以内で召し上がってください!ちなみにここでの脱落者はゼロ!さすがです。今年の大会はハイレベルです!」
と、熱気の篭った司会の状況報告もどこふく風、で、参加者たちは肉にかぶりついた。
リズも同じく串を打ち込み、包丁を入れる。肉は嘘のように切り分けられた。
ルートは早々にかぶりついていたが、リズは先に食べやすいように細かく切ってから食べることにした。そこで違和感を感じた。
妙なのだ。これだけ大きい肉なのに、口に入れても思ったほど満足感がない。リズが首をかしげながら食べていると、セツナがリズの耳元で囁いた。
「小細工ですね…食べながらでいいので聞いてください」
「ほえ?」
「どうやら魔法で体積を多くしていますね。しかし元の質量は変わっていませんから、そう食べた気にはならないでしょうね」
「なんでそんなことするの?」
「どうやら、悪意はなさそうです。単にパフォーマンスと心理効果を狙っただけでしょうね。主催側も知っているようです」
「ふーん」
リズは納得したような納得しないような返事をし、続きを食べることにした。確かに大きさの割に満足感はないが、味は一級品だ。
柔らかくジューシーで、ステーキにかけられたソースも絶妙な味を引き出している。
と…
「おおっと、ここで5番ギブアップです!!!残念でしたー。どうぞ、参加賞の葡萄酒1瓶を受け取ってお帰りくださーい」
どよめきと共に、隣のチームが立ち上がった。口々に「あの肉は大きすぎる…」と言っていたのを聞き、リズはセツナの言葉の意味を理解した。
確かに、満腹で巨大なステーキを見たら気持ち悪くなるのも当然である。最も、リズの「満腹」はこんな場所にはないが。
今度のステーキはルートの口に合わなかったのかそれとも先にリズを満腹にさせる作戦だったのか、セツナの分のステーキはリズが食べることになった。
そのおかげで持ち時間を半分近く残したところでリズたちは完食した。勿論、3番の猛者たちもリズたちより若干早く食べ終えた。
それから2番、1番と続き……1番は終了間際で食べ終わったのだった。



「今度は安心して見られたなー。それにしても、あいつらあんなにでかい肉よく食えるよなー。俺、見てただけで気持ち悪くなりそう…」
観客席のブロウはほーっと息を吐いた。イレイスは相変わらずコーンを少量づつつまみながら…さもおもしろくない。と言わんばかりにあくびをした。
「はん、とんだ茶番だ」
「なんで?あんなでかい肉があっという間に平らげられるんだぜ?はらはらすんじゃねーか」
「それが実際にあの大きさならな。そもそも、あんなに大きな牛が居るわけがない」
「……あ」
仮に牛の中身が全くの塊であるならリズが両腕を広げたくらいの肉というのも準備できるだろう。
が、牛には骨も内臓もあるし、部位によって肉質も異なる。そんなに大きな肉がとれる牛がいないのだ。
あとはイレイスもセツナがリズに説明したようなことをブロウに教えた。
「なんか、それ聞いちまうと萎えるな……」
「脱落したヤツはプレッシャーに負けたんだろうさ。さっきのバゲットの方がよほど重いのにな」
イレイスは肩を竦める。ブロウは内心、イレイスと催し物を見ていると何もかもが茶番に見える…と思ったのだが口には出さないでおくことにした。



 次に運ばれてきたのは、大皿に盛られたポテトフライだった。
しかしそれだけではない。ワゴンにも山盛りのポテトフライが準備され、まだステージ裾でどんどんポテトフライが量産されている。
「さて、第3ステージではポテトフライを召し上がっていただきます!今度は15分間、ひたすらポテトフライを食べてください!
 たくさん食べた上位2チームが第4ステージに進出できます!ただし、ボーダーラインがあります。
 皆さんの前に置いてある大皿3皿分…今おいてある量とワゴンに載せられた分は食べていただかなければ、
 例え上位2チームに入っていても第4ステージには進出できません」
つまり、周囲の様子を伺いながらポテトフライを食べるという作戦の必要な勝負になるわけである。
単にたくさん食べるなら食べればいいが、この次を考えると、ここで食べ過ぎると後が続かなくなる。かと言ってセーブしていては上位2チームに食い込めない。己の限界を確かめつつ周囲を気にする心理戦…とも言えよう。参加者達に緊張が走る。
…但し、リズたちを除いて。
「いいよね。こういうルールの方がわかりやすくてさー」
リズは暢気に言いながらポテトフライを口に放り込む。その動きに全くよどみはない。
「りずりずー、あつあつでおいしいねー」
「あすいませーん、味薄いんで、塩貸してもらえますー?」
ルートもにこにこしながら次々とポテトフライを平らげていく。
1番と2番のテーブルの者たちはなかなか食べるスピードが上がらないのだが、3番の連中とリズたちは早々にノルマをクリアしてしまった。
この時点で自分たちの勝利がないと悟った賢い1番と2番の参加者たちは白旗を上げた。勝負は時間切れを待たないままに終わってしまった。
しかし、3番の猛者たちとリズたちには決定的な違いがあった。



「さっきからセツナのヤツ、ぜんぜん食ってないよな……まさに、望まぬ出場だったんだろーな…」
観客席のブロウがつぶやく。そう、リズたちのチームは「数合わせです」宣言をしたセツナは本当に数合わせで、料理を平らげているのはリズとルートだけである。一方、3番テーブルの猛者たちは3人で料理を平らげているのだから、若干リズたちより完食するスピードが速い。
が、ポテト勝負でトップにこだわった3番テーブルの猛者たちには若干疲労の色が見える。たいしてリズとルートはけろっとした顔をしている。
「…ほんとに、繋がってたのかもな……」
ブロウは独りごちた。勿論、ここで言う「繋がった」元はリズの胃袋で、「繋がった」先は冥界である。
全てを飲み込む漆黒の闇が広がるといわれる、冥界。そこは本来ならば、とんでもない大罪を犯した存在のみが送り込まれる場所である。
有名なのは神墜としを企てた魔族の王だろうか。
「それが本当だとしたら、一度食われてみるか」
「無茶言うな!」
イレイスはやると言ったらやるので、つっこんだブロウの声は思わずひっくり返った。


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